スペシャル対談

辻調グループ代表辻芳樹氏 × ボイスイメージ代表森裕喜子

プロフィール

ボイスイメージの「スピーチプレゼン」トレーニングを
受講された辻調グループ代表 辻芳樹さんに、
当時のお話をうかがいました。

辻芳樹氏

学校法人 辻料理学館 辻調理師専門学校 理事長・校長
辻調グループ代表

辻 芳樹(yoshiki tsuji)

1964年、大阪府生まれ。
1993年、学校法人辻料理学館 理事長および辻調理師専門学校 校長に就任。
2000年、主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)にて首脳晩餐会料理監修。
2004年、内閣の知的財産戦略本部コンテンツ専門調査委員に就任。
2010年、アメリカで開催された国際料理会議"Worlds of Flavor International Conference & Festival(WOF)"では組織委員を務め、「日本料理における多様性~伝統と革新~」について基調講演を行う。
2013年、料理人発掘コンペティション「RED U‐35」の審査委員長を務める。
2014年、台湾で開催された「2014 Groumet Taiwan Summit & Forum」にて講演。
2018年、フランス国家功労勲章「シュヴァリエ」を受章。

著書に『美食のテクノロジー』(文藝春秋)、『美食進化論』(共著、晶文社)、『和食の知られざる世界』(新潮社)、『辻調 感動和食の味わい種明かし帖』(監修、小学館)、『すごい!日本の食の底力~新しい料理人像を訪ねて~』(光文社)など多数。 テレビ「カンブリア宮殿」、アメリカCNN特集番組などにも出演。

出会い、きっかけ

―――トレーニングを受けるきっかけを教えてください。

辻さん:留学生活が15年間、11歳~27歳まで海外にいたため、母国語はどちらかと言うと英語でした。27歳で帰国してすぐに、学校(辻調理師専門学校)を引き継ぎました。
まず、日本語があまり得意でないという問題がありました。日常では、普通に日本語を話していましたが、人前で話す時に日本語の思考回路が動かない、人前に立つとカメラが気になり、観客の目線で完全に思考回路がストップしてしまう。思考回路が英語だと動くが、日本語では動かないという状況でした。

森先生とお会いして8年くらいになりますが、8年前まで、年間通じて何度も何千人の前で話をしなくてはならない、けれども自分の思いが伝わらない。伝わらないのは、自分に中身が無いからだと、ずっと思い込んでいました。そんな思いが、とても根強くありました。要するに、単純に言うと自信がなかったんです。

辻さん:そもそも、森先生は辻調理師専門学校、辻調グループの職員のプレゼントレーニングを担当してくださっていました。たまたま、トレーニングの練習成果を見る場に居合わせたのですが、ある職員のプレゼンがトレーニング前と後では非常に大きく変わっていました。

「これ直したの、誰?」と担当職員に聞いたところ、「あそこにいる、森先生です」と。
そうしたら、ニコニコ!ニコニコ!っと笑って僕の方にやって来るんです(笑)すごい営業上手だなぁ、この人は営業の鬼だと思いました(笑)とても印象的でした。

直ぐに「ぜひ、彼女にお願いして欲しい」と依頼をしました。恐らく、それほど僕も切羽詰っていたんでしょう。もう、どうしていいか分からない。ほとんどの講義、講演取材等を(学内ではやっていましたが)18年近く全てお断りしていましたから。じゃあ、それを8年の間にどうやって育まれたか、ということですが。とにかくスパルタで(笑)森先生は、あまり褒めて育てるタイプではないので(笑)まずは、出会いはそんな印象でした。

―――辻さんとの出会いの印象は?

森:辻調グループ職員の方を一年間トレーニングして、発表会の場でした。本拠地である大阪校の大きなホールで、トレーニングの成果を「みんな、やった!よかった!」と思って見ていました。
辻先生がいらっしゃることはつゆ知らず、お出ましになって「あっ、この方が!こんなタイミングでお会いできるとは!ご挨拶しよう!」と思って、ご挨拶申し上げました。ただそれだけなんですけれど、営業しようなんて全然思っていなかったんです(苦笑)そうしたら、スピーチやプレゼンにご興味がおありだとうかがいました。

辻さん:スポーツの場合は、自分のここを直したいから、こういうタイプのコーチを探そうと論理的に考えてアプローチ出来ますが、当時はスピーチのコーチを選ぼうにも自分が何を求めているか分からない、コーチを選ぶ情報が全くゼロの状態でした。
そんな中で先生に出会え、そして直感で「この人だ!」と思えたというのは何なのかなぁ。と考えた時に、結果として、「(職員のプレゼンが)こんなに、変わるんだ!」と思えたこと、そして、お人柄ですね。

辻さん:コーチ選びは出会いと直感でしかない。「この人に託したい」と思えるかどうかだと思うんです。託す以上は自分が絶対に変わるんだと、覚悟していました。一方、先生は「さぁ、やりましょう!」とほとんどウォーニング、警告です。最初の2回くらいは「はい、わたしの言う通りにしてくださいね!」という感じでしたね(笑)

森:えーーーっ、そうでしたか!?
そんなつもりはなかったんですけれど、、ただただ一生懸命で(笑)

辻さん:本当によく覚えていますよ、ふたりでトレーニングする場所もあそこがいいか、ここがいいかと話して。僕も一生懸命考えて選んだ場所に、「鏡が無いんですか?!」と言い出す(笑)

森:そんなこと言ったかな??(笑)トレーニングする場所がとても重要なんですね。音の響き、空間に自分が放たれてどうなるかということなので、狭い所や会議室でトレーニングしても本番と違って駄目なんです。場がとても影響するんですね。最初は、学内や辻先生のご自宅リビングでトレーニングしたり、ダンススタジオのようなところに行ったりもしました。とにかく、トレーニングには鏡が必要なんです。

辻さん:鏡を見た時に、「自分の顔ではなくて、観客が見えるようになったら勝ち!」でしたよね?だって自分の顔を見たら、絶対思考回路が止まるじゃないですか。でも、鏡の中に観客が見えてきたら、もうこっちのもの。

森:重要なことですね、俳優やダンサーは鏡に向かって練習します。スピーチでは聞き手からどういう風に見えているかを自分で認知しないといけない、第三のカメラで「自分はこうだ!」とハッキリ認識できると、人前に出ていけるんです。

辻さん:トレーニングは、いきなりそんな感じでしたから、結構厳しいですよ。すべて託して、預けてトレーニングしていました。なぜ、やるのか?先生のメソッドとは?先生の方法論に対して自分はどうあるべきか?をずっと考えていました。理論がわかっていないのに努力しても無駄骨とは言いませんが非常に遠回りになりますから。

森:理論は本当に大事ですよね。辻調グループの教育も深い理論がある、これが辻調が特別なところだと思います。わたしも自分のメソッドには、きちんと理論があって、それを実践するには「なぜ、やるのか?」が分からないと出来ないですし、応用が効かない。これは辻調の学校の先生方から学びました。

トレーニングの印象

―――トレーニングで印象に残っていることを教えてください。

辻さん:スピーチや人前で話すことは、練習すれば場馴れしてできるようになるものです。ただ、「何回もやれば出来る、人前で話せる」のと「伝えられる、共感を生むことができる」は全く別もので、そこが大切だと最も強く感じました。
1対1で話すときは最も簡単、伝えやすい。
1対10になると、使う言葉が変わる。
1対100、1対500となるともっと言葉が変わる。
1対1で話すときのようなチカラで、500人に伝えられるか、この難しさはこれからも取り組むことでしょうね。僕の場合、トレーニングは初歩的なところから、まずは、ただ人前で思うように話せるようになることから始まって、その次に、1の輪、2の輪、3の輪に入っていってどれだけ伝わっているのかと進みました。

―――「1の輪、2の輪、3の輪」と言うのは何ですか?

森:お教えした方法で「3つの輪」というのがあるんですね。演劇のメソッドで、世界にたった1人でいる、例えば個室に入っているときは「1の輪」と言って、自分だけにスポットライトが当たっている。「2の輪」は、ふたりにスポットライト。「3の輪」は、その場全体、たくさんの人がいる場。聞き手がたくさんいる場でも、たった1人に向けて話すように話せると、最も伝わるんです。なので、「3の輪」の中で1対1の関係性が築けるようになりましょう!ということをしていましたね。

辻さん:先生は、やみくもに褒めない、自分がいまどの状態か相手に理解させる。そして、そこをピックアップして、注視するなり問題指摘するなりして自分で気づかせる。それが褒めて育てるということなんだと僕は思います。 だから、先生は「いいわよ!」「やりなさい、大丈夫だから!」とそんなことは一切おっ しゃらない。「結局、何が言いたいんですか?」と(笑)いったい何度言われたことか(笑)メールでも「今まで何をやってきたの?」と(笑)

森:そうでしたか?メールでと言うのはレビューですね。本番を会場の後ろで見ていて、終了後にメールでレビューレポートをお送りしていました。それを楽しみにしていただいていたと思うんですが。

辻さん:こういう学びは、教科書で教えられるものじゃないですね。スピーチが上手くなることが目的ではないです。僕は、ずっと自分には中身が無いと思っていましたが、中身が無いのではなく、自分の中身を整理できているかどうか。人に伝える前に自分の整理ができるようになること、それがスピーチコーチングの本質だと思います。

森:そうですね、中身があるんだから、それを人に伝わるように整理して、出しましょう、と言うことですね。

辻さん:これは、アタマの良い悪いじゃない。人に伝えることよりも、自分の言いたいことは何なのか、自分のアタマの整理がまず重要だと、一番最初に気が付いたことです。初めから「中身は充分おありになるじゃないですか」と先生はおっしゃってくださいました。無いけれど無いなりに整理できたら、ある程度伝わるんだなと感じられた、劣等感から自信へシフトするプロセス。これがトレーニングの中で最も難しく、自分にとってはすごく大きな壁でした。

辻さん:これは喋り方の問題じゃない、生意気な言い方ですが、喋り方なんて後回しでいいんじゃないかと思えました。だんだん整理されて来て、言いたいことだらけになってきた時に初めて自信につながりました。そして、「話のネタの引き出しを1つだけ出しなさい、全部出さなくていい」「全部出しても聞いていないから」と。「1つ伝えられなかったら、10出しても意味ないわよ」と先生がおっしゃっていました。

辻さん:これは全てひっくるめて「自己開示」だと思います。自分をさらけ出す、さらけ出すには自分を知っていないといけない、相手のことも知っていないといけない。よく先生がおっしゃっていたのは、「戦に行くのに、戦う相手がわからないと戦いに勝てないでしょ」と、全くその通りだなと。例えば政治の世界なら、オーディエンスのほとんどが敵かもしれない、すごいなと思いますね。

森:確かに敵かもしれませんが、同じ地球に住んでいる同じ人間じゃないですか。だから仲間なんです、国が違っても世代が違っても。 話し手としては、そういうスタンスでいないと、と思いますね。とにかく、聞き手はそこにいてくれるだけでOK、嫌いでも敵意があっても興味を持っていればいい。そこにいてくれるだけでいいんです。

印象に残っている「本番」

【早稲田の講義】

辻さん:印象に残っている「本番」、これはトレーニングを受けた本人と育ててくださった方とでは印象が全く違うと思うんですけれど。こちらは「やった!」と思っていても「何それ?」という場合もあるし、こちらが普通にやっているだけなのに涙流して喜んでくださる場合もある。「早稲田の講義」はあまり緊張せずに普通に喋ったのに、先生はすごく感動されていました。学生の質がよかったのもありますが。

森:早稲田でのご講演は、トレーニングを始めてから一番最初の大きな本番でした。辻調の職員の方も「辻校長はどう話されるのかな?」とたくさんいらしていました。トレーニングではその本番をめがけて練習をしていました。当日、会場に入ったら必ずすぐやるべき事前準備があるのですが、それをやってくださるかなぁ?とわたしは見ていまして。そうしたら、しっかりやってくださいました。そして、本番。いいお話をされました。それを見てわたしは「こんなに、お話になれるじゃないですか!」と涙が出ました。学生の皆さんの反応も良かったんです。数珠つなぎに質問がたくさん出て、なかなか終わらなかった。

辻さん:僕はサシで喋りたい方なので、軽いトークができない。講演よりも授業よりも、質疑応答の方が自由に喋れて、時間配分も自分で調整できるのが好きですね。例えば1時間半の講義であれば、その時間内に引き出しの中身を全部出さなきゃいけないと考えてしまい、型にはまったものになってしまう、それはすごく嫌でした。質疑応答の場合は、良い質問だったらずっと引っ張れて、質問に対して自分の言いたいことも乗せられるから、すごく楽に話せました。質疑応答で自信が付きましたね。

【カンブリア宮殿】

辻さん:それから動画やテレビ、これが僕は本当に駄目で。カメラを向けられた瞬間に凍りつく、とにかく撮られるのが苦手なので「カンブリア宮殿」の収録は本当にキツかったですね。

森:お出になることが決まって、番組を目指して準備をしました。わたしが村上龍さんになって想定問答もしました。辻先生は「そんな質問!?」「キツーイ」とおっしゃりながら。「本番同行しますよ」とわたしが言うと「それは来ないでください、森先生に見られるの嫌だから」と言われて(笑)

辻さん:それは、今日は親に来てもらいたくない、今日は誇らしいから親に見てもらいたいとそんな感覚でしたね。あの収録は、最もキツかった、けれど最も普通に話せました。

森:いいお話がたくさん出ましたね。

【RED 料理人育成プログラム】

森:辻先生は質疑応答やその場でやり取りするシンポジウム、場をファシリテーションするのがお得意。ピカイチ!です。

辻さん:分かっていないことでも、全然理解していなくても、話せるんです。難しい説明をしている人に、こんな馬鹿な質問をしてみようか?と第三者になって聞いている、僕も観客になっているんですね。

森:話し手とオーディエンスのブリッジかける意味で、大事なところですね。そこがお強いので素晴らしいところだと思います。

辻さん:「RED」という料理人育成プログラムがあるのですが、毎年、小山薫堂さんがプロデュースされている若手の料理人の才能を引き出すという主旨のイベントです。 「食における人工知能」や「食に対する持続可能性」をテーマにシンポジウムで話をしました。すごく楽しかったですね。それが、自分としては100点の本番でした。

辻さん:けれども、矛盾しているようですが、自信にはつながらない。なぜなら、本番は1回きり、スピーチや講演シンポジウムは、全て1回きりです。ピラミッドみたいに自信を積み重ねるものじゃない。毎回シチュエーションが違い、そこにどれだけ真摯に向き合えるかだと思います。慣れで簡単にできるものじゃない。

森:確かに、おっしゃる通りですね。本当に、本番は1回で全部終わってしまいます。それが積み重なって、分厚くなるだろうという部分もあるんですが、毎回が真剣勝負で、同じテーマであっても再現はできない。「積み重ねの自信にはつながらない」とおっしゃっているのを聞いて、なるほどとわたしもそう感じます。

辻さん:自分が「いま大切なことを言っているな」と思いながら言っても伝わらない、ここが勘所だ!なんてモノは無いですね。普通に話しているだけなのに、「あれ?なんかすごい聞き入っている」という場合もあるし、毎回ケースバイケースです。本番はナマモノですから。

【入学式・卒業式】

辻さん:まず、森先生に依頼するまではフィールドバックが全く無い状況でした。誰も褒めないし批判もない。孤独ですね、本人に面と向かって言う人はいない。でも、駄目だというのは明らかで。森先生からのレビュー読んでみてください、本当に泣きますから(笑)99.9%がやっぱり指摘されてたなーと、図星というか、そこまで言うか、、と(笑)

森:この方ならば、ここまでおできになるだろうと可能性を見ているのです。だから、なんでこんな所で止まっているのかな?と思うわけです。

辻さん:僕は、入学式・卒業式を150回やっているんですね。年中行事の中で最も重要な式典にもかかわらず、森先生から「全然伝わっていない、全然チカラがない」「伝わってこない、言い切れていない、何が言いたかったの?」「話が途切れている、ここ長い、どこ見てるの」と。ご指摘の通りで、真摯に向き合わないといけないなと痛感しました。

森:現象自体は「こうだった」と指摘しますが、大事なのは「何故、そういうことを起こしているのか?」ということなんです。要因はご自身でわかっていらっしゃると思うので、そこをどう対応したらいいかということをお考えいただきたい、とお伝えしました。
ゴールは校長先生がいいお話をするということではなくて、卒業された方が、先生の言葉を胸にこれから羽ばたいていくわけですから、そういう意味でとても大切ですよね。

辻さん:入学式は宣言、卒業式は学習成果に対する責任を受けて、僕がどう激励できるかどうか。教育自体が本物でなければ自信を持って喋れない、それも全部含めて「10分間のスピーチ」になります。スピーチはイチ行事、ひとつの仕事ではなく、自分に対する教示、戒めでもあると思います。

心がけていること

―――現在、スピーチで心がけていることは何ですか?

辻さん:「準備」これに尽きますね。年齢や世代に関係なく、常に準備していること、慢心するか謙虚になるかの境目だと思います。最近、スピーチを急に振られるんです。600人の晩餐会でメインの来賓の方が来られなくなって、僕は隣の席だったんですが、急に「辻さん、ちょっと乾杯の挨拶をしてください」と言われてやったことがありました。スピーチ乾杯の挨拶の準備をするのではなくて、今、なぜ自分がここにいて、メインの来賓の隣に座っているのかを自覚していることが「準備」ですね。ちゃんと出来ましたよ、でもキツイですよあれは(笑)

森:それをやってらっしゃるんですね、すごい!嬉しい!「準備」というお話から、わたしがお伝えしたかったことが、伝わっている!!咄嗟のフリでなぜ出来るのか。わたしは「話のマーケティング」と言っているんですが、何を話すかの前に、なぜ自分がその場にいるのか目的がわかっていること、それが本当に大切だと思います。まず当たり前のことが出来ているということが、準備ですよね。

辻さん:それから「役割の自覚」すごく重要ですね。

森:はい、そうですね!目的と、わたしが誰なのか誰であるべきか、大事ですね。

辻さん:今年のG20で料理総監修を務めました。東京3つ星2つ星クラスのシェフたち、自分の確固たるブランドを築いている人たちが集まって一緒にやっていくわけです。内閣や官邸、大使からも、ありとあらゆる注文が次から次へと来ます。そんな状況の中で、この一晩の1時間半の晩餐会ために「日本の和、現代の和をどう表現するか」に特化していかに考えられるか。個々の判断、その場その場の判断で「この目標のために動くんだ!」と全員を奮い立たせなきゃいけない。総監修としてどうまとめるかと考えた時に、それは言葉でしかない、スピーチしかないと。言葉の力は重要ですね。

今後の展望

―――最後に、今後の展望をお聞かせください。

辻さん:とにかく生きていくことで精一杯(笑)登壇が目的ではなく、コミュニケーションです。人と話すこと、今まで以上に若い職員からベテランの職員まで、とにかく話す。結局、ブランディングはインナーコミュニケーションでしかないですから、インナーコミュニケーションを築くことが、僕の今後の展望ですね。まだ仕込みの部分ですが。森先生のトレーニングを受けていなかったら絶対できなかったことですね。

森:人前で話すトレーニングが基本だったんですが、それをご自身で消化してくださって色々にお使いいただいているところが、すごく嬉しいなと思いました。

辻さん:森先生はもっと営業するべきです(笑)スピーチプレゼンのトレーニングを必要としている人がたくさんいると思います。ビジネスマン、アントレプレナー、組織企業の何代目、それぞれタイプが異なりますが、スピーチに対する危機意識を自分で感じられるかどうかが、自分の可能性を開く鍵。

辻さん:「君の話し方は伝わらないよ」というのは、「あなたの食べ方は汚いですね」と言うのと同じ、それくらいデリケートなものです。だから本当に心の底から「やばい!なんとかしなくちゃ」と思わないとできないことですよね。僕はドン底の状況でしたから。

森:辻先生の場合、トレーニング前は話せなかったではなく、話していなかった、出来ないのではなく、やってなかったというだけだと思います。わたし「下手」という言葉は一切使いません。ご自身の中にあるものをきちんと出していなかっただけです。
辻先生ほど、真摯に、話すことに取り組まれた方はいらっしゃいません。色んな経験をしていらっしゃるので、ご自身の中にある「言葉の泉」のようなものがあります。ご自分では当たり前だと感じられるかもしれませんが、それを聞きたいと思っていらっしゃる方が大勢おられると思います。今日のような興味深いお話をぜひお続けいただきたいと思っております。

(取材:2019年6月)