社長のためのスピーチトレーニング 名前を呼ぶ

名前を呼ぶ

初対面などの場合、たいていは名刺交換をしてから話に入りますが、そのとき「○

○さん」と名前を呼びかけることは、なかなかしにくいものです。

でも、研修やプレゼンの場、あるいは交渉の場ではできるだけ相手の名前を呼びか

けて話をしましょう。

「この件について、どう思いますか?」

「吉田さん、この件についてどう思いますか?」

「何かご意見はありますか?」

「何かご意見はありますか、佐藤さん」

初対面で相手の名前を呼びにくいのは、お互いにまだ「共感」が築けていないから

です。共感が築けてから初めてプレゼンや交渉が始まるのです。そのためには、

 

まず、名前を呼ぶ。

 

これが一番いい方法です。

よくアメリカ映画や英会話のなかでは、会話の先頭か後ろに相手の名前をつけるの

を聞いたことがあるでしょう。

「Thank you,Tom!」

日本語では、話すときに相手の名前をきっちりと言い合う習慣が欧米ほどありませ

んから仕方ないとしても、こういわれると相手との距離がとても近くなった気がする

ものです。

かといって、なにも英語のニュアンスでやる必要はありません。

やさしいお医者さんに診てもらっているときのことを思い出してください。

「はい、どうされましたか?」

「はい、吉田さん、どうされましたか?」

自分が患者だったら、どちらがいいでしょうか。

相手が子供であろうと大人であろうと、名前を呼ぶことは、究極、相手の存在に対

して敬意を払うことなのです。

名前を呼ぶときは、親しげに「○○さん」か、ちょっと丁寧に「○○様」か、ある

いは肩書を重視して「○○部長」と呼ぶのか。ちょっと迷うかもしれません。

私の個人的な考えですが、私は自分のお客さまの場合、どなたに会っても初対面の

ときは「○○様」とお呼びすることにしています。たとえ親しくなってもお客さまは

お客さまという考え方です。

なかには「○○様と呼ぶのはやめてほしい」とおっしゃってくださる方もいます。

そんなときは「○○さん」と呼ばさせていただいていますが……。

友人や親しい間柄ならニックネームでも“ちゃん”付けでも構わないでしょうが、

あくまでビジネスの場では「礼節」を重んじるべきでしょう。

また、スピーチやプレゼンなど多くの聞き手がいる場では、聞き手のことをどう呼

ぶかで話し手と聞き手の距離が違ってきます。

聞き手全員をとらえて「皆さん」とするか、あるいは、ひとりひとりを「一人」と

して「あなた」と呼ぶか。

これは伝えたい内容や文脈によって変わってくるでしょう。

何気なく「皆さん」に語りかけながら、突然、ひとりの「あなた」にフォーカスす

る。

「ここまでお話をしてきましたが、前列でノートをとっていらっしゃる“あなた”、

失礼ですがお名前を教えていただけませんか。○○さんですね、ありがとうございま

す。では、○○さん、いままでの話を聞かれてどう思われましたでしょうか?」

このときも、必ず名前を呼ぶことが前提です。