社長のためのスピーチトレーニング 手で演出

手で演出

人にとってなかなかむずかしいのが「まっすぐに立つ」ということ。
試しにやってみてください。
まっすぐに立つというのは、緊張せず体から力を抜いて手足を伸ばして立つことです。
緊張するとつい肩に力が入って、昔の兵隊さんのように直立不動になってしまったり、そのまま歩きだそうとすると右手と右足が同時に出てしまったり。
そして、まっすぐに立とうとすると困るのが「手」。
手のやり場に困って、ついポケットに入れたり、前で組んだり、後ろで組んだり、なかには頭や鼻の頭をポリポリやってしまいがちです。
ところが、スピーチプレゼンにおける「手」は、使いようによっては目線よりも表情豊かに語ってくれることがあるのです。

まずは聞き手に向かって手のひらを開いて見せる。
こうすることで胸が開いて言葉
がスムーズに出てきます。
聞き手のほうにも、話し手の手のひらが見えたことで安心
感が生まれます。

こうして手のひらを自由にしてから、言葉を補足するためのジェスチャーです。
話す言葉にパワーがつくので、発言がより豊かに伝わります。
やってはいけないことがあります。

  • 手を前で組んで話す……西洋ではアダムとイヴのアダムが、前を隠すために組んだ手を「イチジクの葉」と呼ぶそうで、あまり印象がよくありません。
  • 手を後ろに組んで話す……聞き手に話し手の手のひらが見えない状態は、話し手が何か隠し事をしているようにしか見えません。聞き手が話を聞きたいと思っているのに逆効果。
  • 手を揉みながら話す……下手に出て謙遜しているようにも見えますが、これでは信頼感が薄れます。「揉み手をする」という言葉はあまりいいことには使われないはずです。
  • 腕組みをして話す……とても偉そうに見えます。話しながら相手を拒否しているようです。会議などでも腕組みや足を組んでいる姿は見苦しいもの。

また、腕組みは自分を外から守るための「防御の姿勢」でもあります。
腕組をしながら話すと、聞いているほうも自然に腕組みをして聞きはじめます。
これを「ミラーリング現象」といい、無意識にお互いに同調し合うことをいいます。
リラックスして話をしたいときは、手に何も持ちたくないものですが、ときには手にポインターやペンなどを持って話すことがあります。
このとき、あまり手を動かしすぎると、聞き手の目線が手のほうに向いてしまいます。
これでは逆効果。無駄な動きはしないことです。
手の動きはだいたい腰から上。ほぼ胸のあたりで動かすのがいいでしょう。
肩より上に振り上げるのは政治家が宣伝カーのうえで演説をしているようで、スピーチプレゼンの場ではあまり似つかわしくありません。
強調したい言葉があるときは、胸の前で拳をギュッと握りしめるくらいのほうが力強く感じられます。