社長のためのスピーチトレーニング 聞き手は話し手を見ている

聞き手は話し手を見ている

 

自分のスピーチの内容を、どうしたら聞き手に理解してもらえるだろうか――。
どの話し手も気になることです。
そのために声の大きさや話す速度、さらには表現の仕方などに工夫を凝らしたりします。
もちろんその努力はおおいにすべきですが、実は、聞き手は話し手の話を「聞いている」のではなく、目の前で話をしている話し手の姿や動きを「見ている」のです。
そのことをわかっていないと、話し手は聞き手に伝えたいことが伝えられず、聞き手とのコミュニケーションを図ることができません。
そこで、人間のコミュニケーションについてすこし考えてみましょう。人間のコミュニケーションの方法は、大きく二つに分けられます。

(一)言語的コミュニケーション(バーバル・コミュニケーション)……言葉によって表現される「言語情報」によるコミュニケーション。

(二)非言語的コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)……外見や表情、態度、ジェスチァーなど「視覚的・聴覚的情報」によるコミュニケーション。

このふたつのコミュニケーションを比べると、聞き手にとって話し手の話の内容がよくわかるのは、前者よりも後者。外見や表情、目線、態度、ジェスチャー、ファッションなどによる言葉以外の「非言語」(ノンバーバル・コミュニケーション)のほうが効果的だとされています。
たとえば、新製品の掃除機があり、これを営業マンが宣言販売するとします。
営業マンは当然、掃除機の性能や品質、価格といった客観的な情報をお客さまに説明します。
でも、これを言葉だけで伝えるなら、誰が営業しても同じような結果になるでしょう。
極端にいうなら営業などしなくてもチラシ一枚ですんでしまうかもしれません。
でも実際は、同じ掃除機を売るにしても、非常に優れた成績を上げる営業マンもいれば、ほとんど実績を上げられないという人も出てきます。いったいその差はどこから生まれてくるのでしょうか。
優秀な営業マンと呼ばれる人には次のようなことが考えられます。

  • お客さまに好かれる外向的な性格。
  • 掃除機の機能や品質を魅力的にプレゼンして販売する交渉能力がある。
  • お客さまに接するときの表情や口調、態度、視線の好感度が高い。
  • ~③のキーワードは「外向的な性格」「魅力的なプレゼン」「好感度」。

つまり、営業マンにとってたいせつなことは、お客さまにどれだけ信頼や親近感、好感をもってもらえるかということに尽きるようです。
言葉だけでなく、言葉以外の要素がとても影響するということです。
また、営業をする人のなかには誰もが認めるような美男美女もいるでしょう。
そのような生まれつきの容貌や身体的に有利な特徴も、ノンバーバル・コミュニケーションの大きな要素となりますが、それだけではありません。
なによりその人自身が魅力的でなければならないのはいうまでもありません。
たとえどんなに美しい外見的な魅力を備えていても、愛想がない、思いやりがない、表情が暗い、礼儀や品性に欠ける、声のトーンが暗いなどといったマイナス点があると、聞き手はあまり話し手の話に耳を傾けようとはしないものです。

このように、スピーチというと言葉を中心に考えがちですが、実は、ノンバーバールの力は言葉以上に人の心を動かすものなのです。

そもそも言葉で伝えられないものがたくさんあり、それを伝えたいから身ぶり手ぶりがあるのでしょう。
人間は言葉ができる以前はそうしてコミュニケーションを図っていたはずです。
ノンバーバル・コミュニケーションとは、言い換えれば、人前であなたの人間的な魅力を発揮する能力のこと。